円筒度(GD&T):記号、公差域、機械設計での適用例
1 min
- GD&Tにおける円筒度とは
- 円筒度の定義
- 円筒度の記号
- 円筒度と真円度、真直度、振れとの違い
- 円筒度を指定すべき場面
- 円筒度の測定方法
- CNC加工における円筒度
- 円筒度を指定する際によくある間違い
- 円筒度に関するよくあるご質問
- 円筒度のまとめ
要点
- 円筒度(GD&T)は、円筒面全体の形状偏差を制限する形状公差です。対象表面上のすべての点が、半径差が公差値に等しい2つの同軸円筒の間に収まる必要があります。
- 円筒度の記号は、円を2本の平行線で挟んだ「⌭」です。平行四辺形の記号「▱」は平面度を表すため、混同しないよう注意が必要です。
- 円筒度はデータムを参照しません。対象表面そのものを基準に評価する形状公差であり、円筒形状を三次元的に評価できます。
- 円筒度の公差域は、個々の断面だけを評価する真円度よりも包括的です。各断面の丸さに加え、円筒面全体が1組の同軸円筒内に収まることを要求します。
- 円筒度はCNC旋削でも実現できますが、厳しい公差では円筒研削やセンタレス研削が選択されることがあります。測定には、三次元測定機(CMM)や真円度・円筒形状測定機が使用されます。

三次元測定機によるシャフトの円筒度検査
すべての断面で直径が規定値内に収まっているシャフトでも、組立時に不具合が生じることがあります。また、長手方向の5か所で真円度検査に合格した穴であっても、軸受が不均一に摩耗する可能性があります。これは、個々の断面で測定した真円度だけでは、表面全体が正しい円筒形状になっているかを判断できないためです。中心軸の曲がりや、円筒面全体が共通の円筒形公差域内に収まっているかどうかも確認できません。
これらを制御するのが、円筒度(GD&T)です。円筒度は、真円度、テーパー、軸方向の曲がりなどに関係する偏差を含め、円筒面の三次元形状を包括的に制限します。これは、真円度と母線方向の真直度を含む円筒面全体の形状を、1つの要求事項として評価できる幾何公差(GD&T)の一つです。本記事では、円筒度の意味、公差域の仕組み、指定すべき場面、測定方法、関連する幾何公差との違いについて解説します。
GD&Tにおける円筒度とは

円筒度(GD&T)の公差域図
円筒度は、実際の円筒面が理論的に完全な円筒にどの程度近いかを規定する形状公差です。対象となる円筒面上のすべての点は、同じ軸を共有する2つの完全な同軸円筒の間に収まらなければなりません。この2つの円筒の半径差が、円筒度の公差値となります。
円筒の大きさを規定する直径公差とは異なり、円筒度は表面の形状を制御します。例えば、直径公差が25.00 ±0.025 mmのシャフトは、寸法公差内であっても、一端が太いテーパー形状、断面の真円度不良、軸方向の曲がりなどを含む可能性があります。円筒度は寸法だけでなく、円筒面全体の三次元形状を対象とします。
円筒度の定義
円筒度とは、対象となる円筒面全体が、半径差が指定公差値に等しい2つの同軸円筒の間に収まることを要求する形状公差です。
寸法公差だけでは制御できない項目
寸法公差は、測定した各断面における直径の許容範囲を規定します。ただし、寸法公差だけでは次の項目を十分に制御できません。
円筒面が長手方向の全域で、必要な円筒形状を維持しているか
各断面が十分な真円度を備えているか。楕円形などの断面でも、測定方法や寸法限界によっては寸法公差を満たす場合があります。
断面同士の中心位置が長手方向に整合し、テーパー、樽形、鼓形、曲がりなどの形状偏差が許容範囲内に収まっているか
円筒度は、これらを円筒面全体に対して同時に制御します。個々の断面の寸法だけを確認するのではなく、円筒全体が要求された形状に収まっているかを評価する点が重要です。
円筒度の記号
GD&Tにおける円筒度の記号は「⌭」です。円を2本の平行線で挟んだ形で、幾何公差記入枠の最初の区画に表示され、その指示が円筒度であることを示します。平行四辺形の「▱」は平面度の記号であり、円筒度とは異なります。
円筒度の指示の読み方
一般的な円筒度の幾何公差記入枠には、円筒度記号と公差値が記載されます。
[⌭|0.02]
円筒度は形状公差であるため、データム参照は付けません。対象表面を外部のデータムに対してではなく、その表面自体の形状として評価します。上記の例における0.02は、公差域を構成する2つの同軸円筒の半径差を示します。
円筒度記号と公差値の後にデータム記号が記載されている場合、その指示は不適切です。特定のデータム軸に対する回転精度や同軸性を管理したい場合は、全振れ、円周振れ、位置度など、機能要件に適した別の幾何公差を検討する必要があります。
例:円筒度0.02 mmの指示は、対象表面全体が、半径方向の幅0.02 mmの円筒形公差域内に収まることを意味します。
公差値の解釈
円筒度の公差値は半径そのものではなく、公差域の半径方向の幅です。円筒度0.02 mmは、各側に0.02 mmずつ許容されるという意味ではありません。外側円筒と内側円筒の半径差が0.02 mmであることを示します。
円筒度の公差域
円筒度の公差域は、2つの同軸円筒によって囲まれた三次元領域です。
- 内側円筒の半径:r
- 外側円筒の半径:r+t(tは円筒度の公差値)
- 2つの円筒は同じ軸を共有します。
対象となる円筒面の全長にわたり、表面上のすべての点がこの半径方向の領域内に収まる必要があります。公差域はデータムに固定されず、適用規格と評価方法に従い、実測表面に適合する位置と姿勢で評価されます。ただし、公差域の境界は常に円筒形かつ同軸であり、それぞれが独立して傾いたり、形状を変えたりするものではありません。
円筒度で検出できる形状偏差
真円度偏差:断面が楕円、ローブ形状、その他の非円形になっている場合、その断面上の一部の点が内側または外側の円筒境界を外れる可能性があります。円筒度では、全長にわたる各断面の形状偏差が評価されます。
テーパー:一端の直径が他端より大きい場合、実表面が共通の同軸円筒による公差域から外れる可能性があります。個々の断面が寸法公差を満たしていても、円筒度によって長手方向のテーパーを検出できます。
軸方向の曲がり:シャフトが弓状に曲がっている場合、各断面の中心が共通軸からずれるため、曲がった部分の表面が公差域を外れる可能性があります。
複合偏差:わずかなテーパー、真円度偏差、軸方向の曲がりが同時に存在する場合、これらを合成した表面形状が評価されます。最も不利な部分を含め、表面全体が公差域内に収まるかどうかで合否を判定します。
円筒度と真円度、真直度、振れとの違い

円筒度と真円度、真直度、振れの比較
円筒度を初めて扱う場合、真円度、真直度、振れと似ているため、なぜ個別の公差が必要なのか疑問に感じることがあります。しかし、それぞれ評価対象と機能が異なり、図面指示や検査方法にも影響します。
円筒度と真円度の違い
真円度は、個々の二次元断面をそれぞれ独立して評価します。各断面は、それぞれの断面に適合する2つの同心円によって評価され、断面同士が共通の軸を持つことは要求されません。そのため、各断面が十分に丸くても、断面中心が長手方向にずれている形状は、真円度には合格しても、円筒度には不合格となる場合があります。
円筒度では、すべての断面を含む円筒面全体が、共通軸を持つ1組の同軸円筒内に収まる必要があります。この三次元的な要求により、各断面の丸さだけでなく、断面間の関係や長手方向の形状変化も同時に制御できます。
| 比較項目 | 真円度 | 円筒度 |
|---|---|---|
| 評価範囲 | 個々の二次元断面 | 円筒面全体(三次元) |
| 断面間の共通軸 | 要求しない | 共通の同軸円筒による評価 |
| テーパーの評価 | 不可 | 可能 |
| 軸方向の曲がり・うねりの評価 | 不可 | 可能 |
| データム | 不要 | 不要 |
| 公差域 | 2つの同心円(二次元) | 2つの同軸円筒(三次元) |
円筒度と真直度の違い
円筒面に適用する真直度は、表面上の個々の線要素を制御します。一般に、軸方向に沿う各線要素を個別に評価するため、それらが共通軸から等距離にあることまでは要求しません。例えば、母線が直線であるテーパー面は、線要素の真直度を満たしても円筒度には適合しない場合があります。
一方、円筒形体の算出された中心線に適用する軸線の真直度は、表面ではなく中心線を制御します。これは円筒面に対する円筒度とは異なる指示であり、目的も異なります。
円筒度と振れの違い
円周振れおよび全振れは、データムを参照する幾何公差です。部品をデータム軸の周りに回転させ、表面の半径方向または軸方向の変動を評価します。データム軸を基準とするため、測定結果には表面の形状偏差だけでなく、偏心や傾きなど、データム軸に対する位置・姿勢の偏差も含まれます。
円筒度はデータムを使用せず、実測した対象表面に対して設定される1組の同軸円筒によって形状のみを評価します。そのため、表面自体が完全な円筒であっても、シャフトのデータム軸に対して偏心している場合は、円筒度には合格しても振れには不合格となることがあります。両者は異なる機能要件を評価するため、目的に応じた使い分けが必要です。
| 比較項目 | 円筒度 | 全振れ |
|---|---|---|
| データム | 不要 | 必要 |
| 主な評価対象 | 表面形状 | 表面形状+偏心+軸の傾き |
| 偏心の影響 | データムに対する偏心は評価対象外 | 評価に含まれる |
| 公差域 | 2つの同軸円筒(データムに固定されない) | データム軸を基準とする円筒形領域 |
円筒度を指定すべき場面
円筒度は、円筒面の真円度、テーパー、軸方向の曲がりなどを含む三次元形状が機能に直接影響し、かつデータム形体に対する位置や姿勢とは独立して、その表面形状を制御する必要がある場合に指定します。
軸受ジャーナルおよび軸受座
転がり軸受を取り付ける表面には、適切な円筒形状が求められます。ジャーナルにテーパーがあると、軸受内輪が不均一に接触し、局部的な接触応力や疲労の進行につながる可能性があります。また、ローブ形状などの真円度偏差があると、予圧のばらつき、騒音、摩耗の増加を招くことがあります。精密用途では0.003~0.010 mm程度の円筒度が用いられる例もありますが、実際の指定値は軸受メーカーの要求、はめあい、荷重、回転速度、製造・測定能力に基づいて決定してください。
油圧シリンダーの内径
油圧シリンダーの内径には、ピストンシールが円周方向およびストローク全域で均一な接触圧を維持できる円筒形状が求められます。円筒度が不十分な場合、シールが接触しにくい部分では漏れ経路が生じ、接触圧が高い部分ではシール摩耗が進む可能性があります。円筒度は、このような内径面全体の三次元形状要求を表すのに適しています。
すべりばめ用の精密シャフト
精密穴に挿入するシャフト、計測機器のスピンドル、測定機の軸、精密ガイドシャフトなどでは、円周方向およびはめあい長さ全域で均一なすきまを確保するため、円筒度の管理が必要になる場合があります。シャフトが樽形、鼓形、またはテーパー形状であると、位置によってすきまが変化し、摺動抵抗のばらつきや位置決め誤差につながります。
ゲージおよび基準円筒
円筒形のピンゲージ、基準円筒、精密標準器には、円筒度公差が指定されることがあります。これらは他の部品を検査するために使用されるため、ゲージ自体の形状偏差が測定誤差へ直接影響する可能性があります。
円筒度の測定方法

円筒シャフトを測定する三次元測定機
円筒度は、孤立した断面ではなく円筒面全体に適用されるため、高精度の測定では適切な測定機、点数、走査方法、評価アルゴリズムの選定が重要です。
三次元測定機(CMM)による測定
三次元測定機では、円筒面の全長にわたり、複数の断面と角度位置に測定点を配置します。測定ソフトウェアは、取得した点群を、適用規格および指定された当てはめ・評価方法に基づいて円筒形公差域と比較します。
測定点数と分布は、測定結果の信頼性に大きく影響します。断面ごとの点数が少ないと、多角形状やローブ形状などを見逃す可能性があります。例えば、1断面あたり8~12点、長手方向に5~10断面を測定する方法は一つの目安ですが、必要な点数は公差、部品寸法、想定される形状偏差、適用規格、測定機の性能に応じて決定する必要があります。厳しい円筒度公差では、プローブ形状、測定機の校正、温度環境、測定速度、測定戦略も結果に大きく影響します。
真円度・円筒形状測定機による測定
専用の真円度・円筒形状測定機では、高精度な回転スピンドルを用いてワークまたは検出器を回転させ、各断面の表面データを連続的に取得します。複数断面のデータを組み合わせることで、円筒度を三次元的に解析できます。一般に、密な測定データを取得しやすく、厳しい形状公差の評価に適しています。
検査ソフトウェアで使用される円筒の当てはめ方法や評価アルゴリズムは、適用規格と測定手順によって異なる場合があります。高精度な測定機でも、適切な校正、測定条件、温度管理、測定物の清浄度を確保することが重要です。
Vブロックとダイヤルゲージによる確認
Vブロックとダイヤルゲージによる方法では、円筒度の値を直接求めることはできません。Vブロックの角度、断面形状、ローブ数などにより、指示値と実際の形状偏差の関係が変化します。中程度の公差を持つシャフトの工程内スクリーニングには利用できますが、精密な軸受ジャーナルの円筒度判定には、より適切な測定方法が必要です。
CNC加工における円筒度
旋削および研削で円筒度を確保する方法
CNC旋削は円筒面の加工に適していますが、達成できる円筒度は、工作機械の精度、保持方法、材料、形状、工具、熱環境、加工条件によって異なります。切削中の発熱、ワークの熱膨張、保持による変形などは、テーパーや軸方向の形状偏差に影響します。
厳しい円筒度が要求される場合は、円筒研削が使用されることがあります。適切に整備された設備、砥石のドレッシング、研削条件、温度管理のもとでは、0.002~0.008 mm程度の円筒度を実現できる場合があります。ただし、達成値はワークの寸法・形状・材質や測定条件によって異なります。
センタレス研削は、条件に適した小径シャフトなどで良好な円筒度を得られる加工方法です。段取り、砥石と調整車の状態、ワーク形状、加工条件が結果を左右します。適切な条件下では、0.001~0.005 mm程度の円筒度を実現できる場合があります。
円筒度公差に応じた加工方法の選定
| 円筒度要求の目安 | 加工方法の候補 | 留意点 |
|---|---|---|
| 0.050~0.100 mm | 標準的なCNC旋削 | 仕上げパス、温度安定化 |
| 0.010~0.050 mm | 精密CNC旋削または仕上げ研削 | 機上・工程内測定を推奨 |
| 0.003~0.010 mm | 円筒研削 | 専用研削盤を検討 |
| 0.001~0.003 mm | 精密円筒研削またはセンタレス研削 | 温度管理、適切な砥石ドレッシング |
| 0.001 mm未満 | 精密研削+ラッピングなど | 専門設備、全数検査を検討 |
上記は工程選定の一般的な参考例であり、加工能力を保証する値ではありません。実際の達成可能範囲は、部品寸法、長さと直径の比、材質、肉厚、保持方法、設備精度、温度環境、測定方法などによって大きく変わります。
CNC加工部品の図面指示
CNC加工部品の図面に円筒度を指定する場合は、対象となる円筒面が明確になるように幾何公差記入枠を配置します。円筒度は表面形状に適用する公差であり、中心軸そのものを制御する公差ではありません。指示線や寸法線との接続方法は、適用する製図規格に従い、設計意図が誤解なく伝わることを確認してください。
円筒度の値は、表面の機能要件に基づいて決定し、予定している製造工程および測定工程の能力と照合する必要があります。工程能力を超えて厳しい円筒度を指定すると、製品機能の改善につながらないまま、全数検査、加工コスト、不適合率が増加する可能性があります。CNC精密加工ガイドでは、CNC加工および研削における公差と工程能力について解説しています。
寸法公差との関係
円筒度と寸法公差は、それぞれ異なる特性を制御します。寸法公差はサイズ形体の許容寸法を定め、円筒度は円筒面の三次元形状を制御します。両者の関係は、適用する製図規格と実体状態に関する要求に基づいて評価する必要があります。ASME Y14.5のRule #1が適用される場合は、最大実体状態(MMC)における完全形状の要求も考慮します。一方、ISO GPSでは包絡の条件の適用方法が異なるため、使用規格を明確にすることが重要です。円筒度は、寸法公差の単純な一定割合ではなく、機能要件から決定してください。
寸法公差とはめあいに関するガイドでは、組み合わされる形体を適切に指定するための寸法公差と幾何公差の関係について解説しています。
円筒度と軸受のはめあいを同時に管理する場合、はめあい記号(H7、k6など)は寸法を、円筒度は表面形状を制御します。精密な軸受ジャーナルでは、機能に応じて両方の指定が必要になることがあります。はめあいに関するガイドでは、はめあい記号と軸受・シャフト組立への適用方法を解説しています。
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円筒度を指定する際によくある間違い
全振れが必要な箇所に円筒度を指定する
特定の軸を基準に表面が正しく回転すること、例えば部品の回転時にジャーナルが振れないことが機能要件である場合は、円筒度ではなく全振れが適しています。円筒度は、対象表面から定まる同軸円筒に対して形状を評価します。データム軸に対する回転精度が必要な場合は全振れを、データムとは独立して円筒面自体の形状を管理する場合は円筒度を使用します。
データム参照を追加する
円筒度はデータムを参照しません。円筒度の幾何公差記入枠にデータム記号が記載されている場合、その指示は不適切です。円筒度は、対象形体そのものに対して形状を評価する形状公差です。生産開始前に図面を修正し、必要に応じて全振れなどの適切な幾何公差へ変更してください。
円筒ではない形体に適用する
円筒度は、理論上の形状が円筒である表面に適用します。円すい面や円筒ではない形体に円筒度を指定すると、公差域を適切に定義できません。部分的な円筒面や限定範囲を評価する場合は、適用規格に従って対象範囲を明確にするか、面の輪郭度など別の幾何公差を検討してください。
寸法公差より緩い円筒度を安易に指定する
ASME Y14.5のRule #1が適用される場合、最大実体状態では完全形状の包絡境界を超えてはなりません。そのため、寸法公差より大きい円筒度を指定しても、追加の形状制御として実質的に機能せず、冗長な指示となる場合があります。例えば、±0.025 mmの寸法公差は全幅0.050 mmです。この形体に円筒度0.060 mmを指定する場合は、適用規格、Rule #1または包絡の条件、設計意図を再確認してください。単純に「無効」と判断するのではなく、ASMEとISO GPSの違いを含めて図面全体を評価する必要があります。
個々の断面だけを測定する
複数の断面を真円度測定し、各断面が合格していることだけを確認しても、円筒度を検証したことにはなりません。円筒度では、各断面の形状だけでなく、断面間の位置関係を含む三次元表面全体を評価する必要があります。ただし、真円度・円筒形状測定機で複数断面のデータを統合し、規格に従って円筒度を算出する場合は、適切な円筒度評価が可能です。
円筒度に関するよくあるご質問
Q:GD&Tにおける円筒度とは何ですか?
円筒度は、円筒面全体の三次元形状が、2つの同軸円筒によって構成される公差域内に収まることを要求する形状公差です。データム参照は使用しません。
Q:円筒度の記号は何ですか?
円筒度の記号は「⌭」です。幾何公差記入枠の先頭に表示し、その後に円筒度の公差値を記載します。円筒度は形状公差であるため、データム参照は付けません。
Q:円筒度と真円度の違いは何ですか?
真円度は個々の二次元断面を独立して評価し、各断面が共通の軸を持つことを要求しません。円筒度は円筒面全体を三次元的に評価するため、真円度だけでは捉えにくいテーパーや軸方向の曲がりなども検出できます。
Q:円筒度にデータムは必要ですか?
いいえ。円筒度は形状公差であり、データム参照は使用しません。
Q:CNC加工では、どの程度の円筒度を実現できますか?
実現可能な円筒度は、工作機械、材料、部品形状、保持方法、熱環境、加工条件、測定方法によって異なります。中程度の要求にはCNC旋削を適用できる場合がありますが、より厳しい要求には円筒研削やセンタレス研削が必要になることがあります。
Q:真円度ではなく円筒度を指定すべきなのはどのような場合ですか?
長手方向を含む円筒面全体の形状が機能に影響する場合は、円筒度を指定します。要求が個々の断面の丸さだけに限定される場合は、真円度を使用します。
円筒度のまとめ
円筒度は、円筒面の全長にわたる三次元形状を評価する包括的な形状公差です。対象表面全体が、半径差が指定公差値に等しい2つの同軸円筒の間に収まるかどうかを判定します。
円筒度を適切に指定するには、機能要件と、その公差を実現できる加工・測定工程を結び付けることが重要です。精密用途では円筒研削などを検討し、検査には三次元測定機または真円度・円筒形状測定機を使用します。また、図面上では対象となる円筒面と適用範囲を明確にし、データム軸に対する回転精度が必要な場合は全振れなど別の幾何公差を選択してください。
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GD&Tにおける最大実体状態(MMC)
要点 MMC(最大実体状態)とは、指定されたサイズ許容限界内で、サイズ形体に含まれる実体が最も多くなる状態です。軸やピンでは許容最大サイズ、穴では許容最小サイズがMMCに該当します。 MMCは、穴、軸、ピン、溝などのサイズ形体に適用されます。 幾何公差にMMC記号Ⓜを付加すると、形体の実サイズがMMCから離れるにつれて、ボーナス公差を得られます。 MMCは、穴やピンなど、サイズと位置の両方がはめあいに影響する相手形体に一般的に適用されます。 ボーナス公差と実効状態は、検査および組立性の確認において、MMCで管理される形体の使用可能な限界を判断するために役立ちます。 図面を読む際は、形体のサイズ許容限界とMMC記号を併せて確認してください。MMC指示はサイズ許容限界と関連して機能するものであり、単に形体をできるだけ大きく、または小さく加工するという意味ではありません。 穴とピンを組み合わせる場合、基準寸法だけを確認しても十分ではありません。実際のサイズは図面に示された許容限界内で変動し、その変動によって形体に許容される位置偏差の大きさも変わる場合があります。 このような場合に、GD&Tで最大実体状態......
GD&Tにおける最小実体状態(LMC)
要点 LMC(最小実体状態)とは、サイズの許容限界内で形体の実体が最も少なくなる状態です。穴では許容される最大径、軸やピンでは許容される最小径がLMCに該当します。 LMCは、穴と外縁との間の肉厚など、形体周辺に残すべき材料の最小量を確保する必要がある場合に主に使用されます。 幾何公差にⓁを付加すると、形体の実サイズがLMCから離れるにつれて、追加の幾何公差を得られます。 LMCは呼び寸法だけで決まるものではなく、該当するサイズの許容限界から求めます。 LMCとMMCは互いに反対の実体状態を表し、異なる機能要件に応じて使い分けます。 LMCの使用頻度はMMCより低く、一般に、形体周辺に残る最小肉厚が機能上重要となる箇所に限定して使用されます。 形体の実サイズが寸法公差内に収まっていても、その位置によって周辺の材料が不足し、問題が生じる場合があります。例えば、穴が外縁に近い場合、溝によって薄肉部が生じる場合、または軸に一定以上の実体を残す必要がある場合です。 最小実体状態(LMC:Least Material Condition)は、このような状態を設計上管理する必要がある場合に、GD&Tで使用され......
Design for X(DFX)とは?基本原則・種類・活用方法を解説
重要ポイント 部品が意図したとおりに機能していても、製造、組立、検査、保守、コストの面で問題が生じることがあります。DFXは、設計変更が比較的容易な段階で、こうした後工程の要件を設計に取り入れるための考え方です。 DFXの原則は、機能要件に取って代わるものではありません。機能要件が後工程でどのような問題を引き起こすかを特定し、工具・治具の準備、生産、生産立ち上げの前に解決策を検討します。 DFXは単一の手法ではありません。DFM、DFA、DFC、DFRなど、相互に関連する複数の設計アプローチを製品開発全体で繰り返し適用する包括的な枠組みです。 CNC製造におけるDFXは、形状、公差、工具アクセス、データム、検査方法などの設計判断に反映され、部品を安定して加工・検証できるかどうかを左右します。 DFMは、より広いDFXエンジニアリングの枠組みに含まれる設計アプローチの一つです。 Design for X(DFX)は設計段階から検討されます。 多くのエンジニアが、同じような経験をしています。設計審査を通過して製造へ移行した後で、さまざまな問題が明らかになります。ポケットが深すぎて既存の工具では加工でき......
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重要ポイント GD&Tの対称度は、指定したデータムに対する形体の導出中心点の位置を規制します。 対称度公差は、理論上の中心平面を中心とする公差域を設定します。対象形体の導出中心点は、この公差域内に収まる必要があります。 GD&Tの対称度記号は、公差値およびデータム参照とともに幾何公差枠へ記載されます。 対称度は、形体の幅や厚さだけでなく、中心位置の関係を規制する点で寸法公差とは異なります。 三次元測定機(CMM)で形体の表面を測定し、その導出中心点を計算することで対称度を検査できます。 対称度を検査するには、図面上で基準となるデータムと規制対象の形体を明確に指定する必要があります。 GD&Tの対称度とは、相対する形体要素から求めた導出中心点の位置を、データム参照に対して規制する幾何公差です。指定した公差域内で形体の中心位置を維持するために使用します。 形体が寸法公差内に収まっていても、中心位置がずれている場合があります。例えば、溝幅が正しくても、2つの基準面の間で要求どおり中央に配置されていないことがあります。GD&Tの対称度は、このような状態を規制するために使用します。 対称度公差は、データム中......
円筒度(GD&T):記号、公差域、機械設計での適用例
要点 円筒度(GD&T)は、円筒面全体の形状偏差を制限する形状公差です。対象表面上のすべての点が、半径差が公差値に等しい2つの同軸円筒の間に収まる必要があります。 円筒度の記号は、円を2本の平行線で挟んだ「⌭」です。平行四辺形の記号「▱」は平面度を表すため、混同しないよう注意が必要です。 円筒度はデータムを参照しません。対象表面そのものを基準に評価する形状公差であり、円筒形状を三次元的に評価できます。 円筒度の公差域は、個々の断面だけを評価する真円度よりも包括的です。各断面の丸さに加え、円筒面全体が1組の同軸円筒内に収まることを要求します。 円筒度はCNC旋削でも実現できますが、厳しい公差では円筒研削やセンタレス研削が選択されることがあります。測定には、三次元測定機(CMM)や真円度・円筒形状測定機が使用されます。 三次元測定機によるシャフトの円筒度検査 すべての断面で直径が規定値内に収まっているシャフトでも、組立時に不具合が生じることがあります。また、長手方向の5か所で真円度検査に合格した穴であっても、軸受が不均一に摩耗する可能性があります。これは、個々の断面で測定した真円度だけでは、表面全体が......
圧入公差:しめしろ、公差表、設計ガイド
要点 圧入は、軸が穴より大きい「しまりばめ」を組み立てる方法です。組立後に生じる部品の弾性変形が接触圧力を発生させ、その摩擦力によって接合部を保持します。 圧入のしめしろ(締め代)は、軸径と穴径の差です。最小しめしろは重なりが最小となる寸法の組み合わせ、最大しめしろは重なりが最大となる寸法の組み合わせから求めます。 圧入公差は、一律の経験則ではなく、必要な保持力、材料特性、部品形状、使用温度、組立方法に基づいて選定します。 H7/p6やH7/s6などのISOはめあい記号は、穴と軸の公差域クラスを標準化された形式で表したもので、機械図面に広く使用されています。 圧入部品のCNC加工では、厳密な寸法管理、適切な表面粗さ、表面処理後の寸法考慮、組立前の検査が重要です。しめしろが許容範囲を外れた状態で組み立てると、分解や修正が難しくなる場合があります。 圧入とは、軸を組み合わせる穴より意図的に大きく設計した、しまりばめの組立方法です。プレスによる挿入力、または加熱・冷却による熱膨張差を利用して2つの部品を組み合わせ、接触面に生じる弾性変形によって接触圧力を発生させます。 選定したはめあい公差によって、組み......
